MUSIC CONNECTS Roland

TR-808: the history, the sound and the present

HISTORY

TR-808のサウンド、そのルーツと現在形。

オリジナルのTR-808

「TR-808のバスドラムのサウンドはスウィープする正弦波なんだよ」この開発者の言葉が示すように、TR-808のサウンドは「ドラムサウンドの根幹の抽出」そのものでした。アコースティックのバスドラムのサウンドにはさまざまな倍音が含まれていますが、開発者はそこには注目せず、低域の量感と皮の変形によるピッチの時間変化を根幹と考えたのです。オリジナルのTR-808はこのバスドラムの他にスネア、ハンドクラップ、ハイハットなど、パートごとに異なるアナログ・シンセサイザーを持ち、それぞれのアイコニックな根幹を抽出しています。
そして楽曲や場面に合わせて音色をノブで連続的にコントロールし、内蔵シーケンサーの16個並んだスイッチでパターンを入力します。その操作スタイルは直感的で、パートごとのミュートと併せてリアルタイムのパフォーマンスもできるほどです。このように、TR-808は音色はもちろんのこと、その操作性にも大きな特長があることがわかります。
なお、オリジナルのTR-808が製造されたのは1983年まで。すでに35年以上が経過し、部品の経年変化による音色の個体差があることも知られています。

PCMの限界を超える技術

アナログ・シンセサイザーのサウンドをデジタル・プロセッシングで実現する技術開発にローランドは多くの努力を惜しみませんでした。アナログ・シンセサイザーのノブによって無限に変化する音色や時間変化のバリエーションをPCM方式で再現することは困難です。忠実な再現には、内部回路の構成や特性をそのままデジタルで実現するテクノロジーが必要でした。そこで開発されたのがローランド独自のテクノロジー 「ACB(Analog Circuit Behavior)」です。オリジナルの回路図をベースにパーツやアナログ回路の特性や挙動まで忠実に再現、オリジナル機開発者のノウハウまでをも反映した最高のコンディションのTR-808のリアルなサウンドを実現し、すでに多くのレコーディングやパフォーマンスに使われています。

TR-808サウンドを体験する

TR-808のサウンドはシンプルかつ本質的であるため、多くの音が重なるトラックにおいても埋もれず明快に響き、今も色あせることはありません。
そしてACBの技術により、現在もさまざまなスタイルの製品で体験することができます。
TR-808のアピアランスや操作性を継承したRoland BoutiqueシリーズのTR-08 、よりライブ・パフォーマンスを意識したAIRAブランドのTR-8、そして新登場のTR-8S。 TR-8とTR-8SはTR-808サウンドに加えてTR-909サウンドなども内包、TR-8Sではさらにサンプル素材も加えた独自キットを構成できます。TR-808以外のサウンドを加えることで、オリジナルのTR-808を超えるパフォーマンスが可能です。
さらに、DJコントローラー、DJ-808/505/202にもTR-808サウンドが内蔵されており、DJプレイにシンクロナイズしたパターンを重ねて新たなグルーヴを生み出すことができます。
またソフトウェアでは、ついにRoland CloudからACBの技術を活かした、高精度のプラグイン・シンセ TR-808 Rhythm Composer を新開発。これにより、DAW環境での使用にも対応しました。

ACBの技術が登場したことによりサウンド・クオリティーの心配が払拭された現在、それぞれのプレイ・スタイル、クリエイティブに合わせたチョイスが可能です。
あなたの個性にあう最適なツールはどれでしょうか?まずはRoland Cloud(英語)の無料トライアルで最新のTRサウンドを体験することをお勧めします。

※日本語の登録ガイドはこちらをお読みください。